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クレーンの安全確保の徹底について

基安安発第0626001号
平成 14年 6月 26日

都道府県労働局労働基準部長 殿

厚生労働省労働基準局
安全衛生部安全課長

 
クレーンの安全確保の徹底について

 標記について、平成14年6月26日付け基安発第0626001号をもって厚生労働省労働基準局安全衛生部長から別紙2の団体に対し、別紙1のとおり要請を行ったので、了知されたい。


別紙1

基安発第0626001号
平成 14年 6月26日

関係団体の長 殿

厚生労働省労働基準局
安 全 衛 生 部 長

クレーンの安全確保の徹底について

 クレーンに係る労働災害の防止については、従来よりその徹底を図っているところですが、去る1月23日に大阪市において、クライミング式クレーンが転倒し、付近住民も含め4名が被災する災害が発生したことは、誠に遺憾に堪えないところです。
 所轄労働基準監督署が行った調査によると、本災害の原因は別紙のとおり推定され、施工上の問題が関わっていると考えられるところです。
 つきましては、同種災害の防止の観点から、会員事業場に対して下記事項について周知徹底されるよう要請します。

1 基礎に作用する力に対して、当該基礎が十分な強度を有する設計となっていることを
 強度計算により確認すること。
2 基礎杭の設置の施工計画において、基礎杭に打設するセメントミルクが設計上の強度を
 確保できる水セメント比となっていることを確認すること。
3 セメントミルクの配合及び基礎杭の施工を計画どおりに実施すること。
 なお、施工管理の徹底を期すため次の事項等を記録として記載しておくこと。
(1) 支持杭の施工年月日
(2) 支持杭の掘削深さ(計画深さと実施深さ)
(3) 支持杭の長さ(計画長さと実施長さ)
(4) セメントミルクの注入量及びその配合比(計画量と実施量)


別紙

クライミング式クレーンの転倒災害の概要

1 発生日時
平成14年1月23日午前11時40分頃
2 発生場所
大阪市天王寺区大道
3 発生状況
 地上15階地下1階建てマンション建設現場で、つり上げ荷重10.6tのクライミング式ジブクレーンを用い、約900kgの鉄板1枚を高さ約10m、ジブ角度60度でつり上げ、旋回していたところ、突然、つり荷と逆の方向にクレーン本体が傾き転倒した。
 クレーン運転手は運転席とともに市道に落下し、肋骨を骨折した。市道を走行中のトラック運転手1名が倒れた旋回台により軽傷を負うとともに、クレーンが市営住宅に倒れたことにより住民2名が軽傷を負った。
 なお、つり上げていた鉄板は、同型のもの(幅153cm、長さ360cm、厚さ2cm)を7枚運び終え、8枚目のものであった。
 当該クレーンは支持杭を基礎部に有しており、オーガーで所定の深さまで掘削した後に、掘削孔にセメントミルクを注入し、H型鋼を挿入する形式であった。
 クレーンの転倒により支持杭は、4本のうち1本が埋没し、3本が浮き上がった。
4 推定原因
 当該支持杭に打設されたセメントミルクの強度が設計強度よりも低く、また、設置した4本の支持杭のうち1本の支持杭が掘削底面の支持地盤に到達していなかったこと。
 このため、杭に作用した荷重に比べてセメントミルクの付着力及び先端支持力が不足して、杭とセメントミルクの間で滑りが生じ、支持地盤に達していなかった1本の杭が沈下したことによって転倒が起こったと考えられる。


別紙2
 
要請先関係団体一覧
・ 建設業労働災害防止協会
・ 社団法人全国建設業協会
・ 社団法人日本建設業団体連合会
・ 社団法人日本土木工業協会
・ 社団法人建築業協会
・ 社団法人日本クレーン協会
・ 社団法人ボイラ・クレーン安全協会